物語
最近は物語について考えることが多い。人間は生まれた瞬間から物語に組み込まれる。それ自体が出生主義であるし、生まれた場所や人種・階層によっても違った物語が生じるだろう。何より人間の脳は過去にも未来にも意味付け(物語の中に置く)をするようにできている。その物語は「ステレオタイプ脅威」(不利なステレオタイプの存在によってパフォーマンスが低下)や、「予言の自己成就」(言ったことが現実になる)、つまり社会的・言語的に様々な影響を受ける(のは自分のnoteを見れば分かる)
物語は神話としても用いられる。権威付けや起源の説明など、何らかの神が全てを作ったというアイデンティティのためだろう。それは「神は死んだ」や「科学革命」の頃に一定の役割を終えたと言っていいかもしれない。また神話は、権威によって作り出された戯言と言った意味合いでメディアが用いることもある(原発の安全神話など)。それでも神話は一定のグループにおける信仰(安心材料)として在り続けるだろう。
物語は語り継がれる。例えば昔話や口頭伝承として。そこには先人の知恵であるとか、人々を魅了させる面白さ、そもそも文字を持たなかったアイヌの口承文芸の重要さ、歴史にはロマンがあると思う。この場合に物語はミームと見做すことができ、やはり物語に刷り込まれていると言えるだろう。
ノスタルジー
あと3ヶ月程で大学を卒業するため(注:2022年12月時点)、そこから先は何か別の物語が必要だろう、というか始めたい。自分で言うのもあれだが、とある経験から当時のことを思い出してノスタルジーを感じることが多い。卒業後に新しい物語が始まるからその前の精算という意味合いではなく、あくまでノスタルジーは前のエンディングであり予告編でもあると位置付ける方が適切だろう。
ノスタルジーを語るとキリがない。
旅行(中でも一人旅や放浪)は、その土地々々における人々との出会いと別れ、一期一会の感覚(これ以降もはや一生再会することはないだろうという思い)がノスタルジアを増幅させやすく、作品として昇華されることも多い。同様の考え方としては、失恋や人の死なども、ある種ノスタルジアと密接に関連した事象と言える。
Wikipedia – ノスタルジー
ノスタルジーはアイデンティティの連続性を確保させるために機能するともある

Wikipedia – ノスタルジー より
ノスタルジーは、自伝的記憶・神話に移行させる過程とも言われる他、人をダメにさせる有害なものとも言われたり、再構築するためのエネルギーともされるなど様々な役割があるという。
とはいえ、元々はスイス傭兵が戦地において発症する病気であるから、地理的な距離がノスタルジーを引き起こすとも言える。
大きな・小さな物語
さて、問題なのはここから先にどのような物語を作るかだ。
フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタールによると、ポストモダンにおいては、終焉したとされる大きな物語 と 小さな物語があるという。
大きな物語
近代社会がそれ特有の世界観と人間観によって社会・文化的コンテキストを維持・正当化するための物語
(資本主義・民主主義・労働の解放・民族独立)小さな物語
https://liberal-arts-guide.com/grand-narratives/
大きな物語の前提を疑問視し、自己の言説を表現しようとする。
個人が生きる拠り所となる家族や恋人,友人との関係をめぐる物語。
言わば、大きな物語に対しても対抗文化
大きな物語がなぜ終焉したのか。メディアによって様々な視点が生まれた、資本主義社会によって大量の記号が生み出された、多様性が現れ始めた、宗教が力を失った、全体主義の終了…..調べれば多数出てくる
今後の物語としては、既に今あるノスタルジーの周縁を辿って、全く別の暮らしをすることだと思う。しかし、そこに付け加えたいものがある、それが神話。日本人として生まれたからには…..というか、古事記にはロマンを感じる。そして古事記の舞台になった場所を巡るとやはり感じるものがある。
物語についてここまで書いても、文学的な物語論はまだ分からないことも多い。文学部でもないし小説も書けないが物語が大きなものということは分かった。例えば以下のような類型があるらしい。
勧善懲悪・貴種流離譚・異種婚姻譚・異常誕生譚・見るなのタブー・変身譚・異郷訪問譚・継子いじめ譚・末子成功譚・致富譚・感生伝説・セカイ系・難破物語・家のなかのモンスター・金の羊毛・魔法のランプ・難題に直面した凡人・人生の岐路・相棒愛・なぜやったのか?・おバカさんの勝利・組織のなかで・スーパーヒーロー
物語の奥は深そうである。物語の類型について詳細は、こちらのサイトで述べられている→シナリオの書き方まとめwiki
まとめ
物語と一口で言っても、ノスタルジーといった感情や、より哲学的な、大きな物語・小さな物語といった分類も存在する。物語の類型も多くの種類が存在する。是非、類型の数々を調べて頂きたいと思う。
参考文献
物語の類型https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E9%A1%9E%E5%9E%8B


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